【校長室より】部活動について思うこと

 昨日で県高校総体が終了しました。あちこち応援に回りましたが、本校の生徒達はどの競技においても大健闘していました。

 この大会で部活動を引退した人もいるでしょう。3年間よく頑張りましたね。自分を思い切り褒めてあげてください。同時に、両親や仲間や顧問の先生方のおかげで充実した活動を続けられたことに改めて感謝して欲しいと思います。

 一方、この後の大会やコンクールを控え、まだしばらくは部活動を続ける3年生もいることでしょう。これまで以上に文武両道の精神を強く持って頑張ってください。そして最後まで青春の炎を燃やし続けて欲しいと願います。

 先日、ある二人の3年生と放課後に井戸端会議?をする機会がありました。たわいもない話で盛り上がる中、彼女達の所属する部活動について日頃どのように思っているかを聞いたところ、次のような答えが返ってきました。

「自分が部を必要とし、部も自分を必要としているのが理想だが、私は部にお世話になっているとしか思えないので感謝しかない。」

「顧問の先生方や部員達に真心をもらい、日々人間としての在り方・生き方を教えられている。これからの自分はこうありたいと考えさせられる機会が多い。」

 おそらく他の部員も同じ気持ちなのでしょう。彼女達は、部活動を通して、人間として大切なものを学んでいると思います。

 

 今の社会はどこか歪んでいる部分があり、うまくいかない時に自分を省みることもせず、すぐ他人のせいにしたり、組織に責任を押しつけたりする風潮があります。感謝よりもエゴイズムが優先してしまう社会に明るい未来はあるのでしょうか。

 学校教育における部活動の果たしてきた役割を決して侮ってはいけません。戦後、平和な日本において、モラルを獲得し人間形成する上で役に立ったのは、「宗教」や「部落」や「道徳の時間」などもありますが、「部活動」というものを通して学んだ若者は実に多かったのではないでしょうか。

 彼女達が感じている部活動の経験は、大人になってからも微かな砂金としていつまでも残り、時には手に取り、忘れかけていた己自身と真実を見つめ直すものだと思うのです。

(学校長 中村謙作)