【校長室より】リーダーの条件

 卒業式、終業式も終わり、光に満ちた季節がやって来ましたね。3年生は新しい生活に向けて、1年生と2年生は新しい学年に向けて準備を始めていることでしょう。令和6年度も砺波高校の生徒達は様々な所で活躍してくれました。地域のたくさんの人から感謝の声が寄せられています。皆さんは将来社会のリーダーとなり、多くの人に頼られる存在になることでしょう。だから最後に、これからの時代に求められるリーダーについて私の考えを話しておきたいと思います。

 リーダーには組織をマネジメントする責任があります。業務マネジメント、財務マネジメント、タイムマネジメント、リスクマネジメント、コミュニティマネジメント等々。私はこれまで、様々なマネジメントの中で「スタッフマネジメント」というものを最も大切にしてきました。何故ならば、このマネジメントは、技術よりも心が優先するからです。

 相手の話を聞く→相手の心を確認する→相手の存在を認める→相手に自分の考えを伝える→相手と共有する・・・スタッフマネジメントの一般的なプロセスです。この中で最も重要なのは、相手の存在を認める事です。相手に「貴方は無くてはならない存在だ」と伝えてあげる事です。そして、相手のおかげで自分も変われると感じる事です。

 したがって、私が思う真のリーダーとは「周りの人々に最大の敬意(リスペクト)を払い、自分を正しい方向に変える事ができる人」なのです。大国の指導者達に大きな疑問を感じる昨今、マハトマ・ガンジーの言った教訓が胸に染みます。 「世界を変えたければ、あなた自身、世界が望むような『変化』とならなければならない」

 Change oneself and change others.(自分が変われば人も変わる) 君達が将来リーダーとなり、多くの人の為に活躍することを楽しみにしています。            

学校長 中村謙作

【校長室より】3年生の皆さんへ

 昨日は自己採点の日でした。思うように点数が取れなかった人もたくさんいると思います。毎年、共通テスト後は、「難しかった!」「時間が足りなかった!」という声がよく聞こえてきます。先日話した通り、大学入試は減点方式でなく、加点方式である事を決して忘れないで下さい。早く切り替えて個別試験の勉強に向かう事が合格への第1条件になります。どうか体調に気をつけて頑張って下さい。

 さて、大学に合格するために一生懸命勉強している姿を見て、改めて皆さんに敬意の念を抱いています。その理由は、最近世の中に少し間違った考えが蔓延っているからです。2011年にニューヨーク市立大学のキャシー・デビットソン教授が「今年小学校に入学した子供の65%は、大学卒業時に今は存在しない職業に就くだろう」と語った言葉は、当時世界に衝撃を与えました。大学と就職の関係についてこれまでの固定概念を捨て、何か新しい事を自分で始めねばならないという風潮が芽生えました。スタートアップを支援する自治体も増えました。非常に大切な時代の流れですが、この流れを大きく誤解して「面倒な仕事はいずれ機械が全部するだろう」とか、「それは昔の仕事だからやりたくない」とか、あげくの果てに「一生懸命勉強しなくても儲け話があるだろう」という若者が増えたのも事実です。

 そんな事は絶対ありません。皆さんのご両親や先輩達が人々のために今やっている仕事は、どれも大切なものであり、形や方法が変わったとしても無くなることはありません。たとえ今は存在しない新しい仕事が現れたとしても、それは今存在している仕事の基盤の上に作られるものなのです。だから皆さんが、社会で活躍している誰かを見て、憧れて、自分もなりたいと思い、大学で専門を学ぶために受験勉強している姿はとても尊いものなのです。

 今は毎日が大変だと思いますが、春は近くに来ています。誰もが例外なく、この経験は将来必ず生きてきます。

【校長室より】「変わる勇気」と「変わらない勇気」

 先月白山に登りました。これまで登山とは無縁の人生を送ってきた僕にとってその日は大変な1日になりました。前日の夜、子供に「お父さん、山を舐めたらあかんよ」と忠告されたにも関わらず、日頃ジョギングをしているので「白山ごとき大した事はない」と思い、ポロシャツとジーパンに2,480円のズックを履いて登ったのが大きな間違いでした。途中「甚之助避難小屋」という休憩所で、水を飲みながらふと周りを見ると、みんなトレッキングパンツに登山靴を履き、手にはストックみたいなものを持っていることに初めて気づきました。「引き返そうか?」と心配されたが、当然「いや登る」といつもの意地を張る。そこからがまさしく地獄でした。

 苦行を続ける中(自ら招いたものだが)、やはり神様はいるのです。足や膝や息が限界に達した「エコーライン」という所で、下りてくるある男性に「先生?」とふと声をかけられました。昔の部活動の教え子のT君でした。確か大学で鳥人間コンテストに出ていた事までは覚えているが、その後何十年も会っていない。まさかこんな所で再会するとは。しかも自分の事を覚えていてくれて感激。その場で会話したのは5分程でしたが、終始昔と変わらない穏やかな笑顔で近況を語ってくれました。高校時代のT君は優しさに溢れた人間で、自分の試合よりも友達が頑張っている試合を誰よりも大声で応援していた姿が印象に残っています。隣にいた女性とは職場で知り合い結婚したそうで、「彼、優しいでしょう」と訪ねたら、「自分の事は後回しにする人なんです」と答えてくれました。白山の大自然はもちろん雄大でしたが、T君の「あの頃と変わらない存在」は僕にとってはもっと雄大なものに思えたのです。

 下山しながらずっと考えていた事があります。そう言えば、本校の生徒達は、部活動の試合や学校行事になると本当に一生懸命応援して仲間を励ましているなと。また日常の何気ない会話から、よく「あいつすごいよ」とか「あの人頑張ってるなあ」とか「私も見習わないとあかん」という声が聞こえてくるなと。他人の努力する姿を心から讃えてリスペクトするという、人間関係において最も大切な姿勢を砺波高校の生徒達は持っているなと。これが本当の意味の“素直さ”であり、大人になっても絶対に変わって欲しくないものなのです。

 世間の荒波に揉まれると様々な障害が襲いかかってきます。余計な見栄や偏見に振り回されると自分を見失うこともあります。往々にして良いものほど変えないようにしていると、自分にとって都合が悪い状況になったりもします。そんな時にはちょっとした知恵と勇気が必要です。人間にとって「変わる勇気」はもちろん必要ですが、「変わらない勇気」もまた必要なのです。

 ちなみに、2,480円のズックですから底はツルツルです。山から下る時何回も転倒し、膝は壊れそうでした。意地っ張りなこの性格は変える勇気?決心?が必要です^▽^

              学校長 中村謙作

【校長室より】自分の行動で

 砺波市の商店街の一角に、ある老舗のお菓子屋が立っている。銀行の前に構えるそのお店のお母さんと娘さんが作る鯛焼きは美味しいと評判で、昭和の時代から市民に愛されてきた。僕も小学校の時に友達とよく買い食いをしたものだ。

 先日、何十年ぶりに立ち寄って注文すると、案の定、新聞紙に包まれて鯛焼きが出てきた。このスタイルも50年以上変わっていない。懐かしい。勇気を出して声をかけてみた。

「お母さん、覚えとっけ?中村やけど。」

「あー。あー。あんたけんちゃんやなけ。」

 たぶん、80歳をとうに超えておられるはずなのに恐るべき記憶力である。

「砺波高校の制服、きりっとして可愛らしいなけ」

「いつも二つの大きい荷物(たぶん勉強用と部活動用?)抱えて自転車漕いでくなけ。頑張っとるね」

「顔見知りの子も、そうでない子も、店に来たら挨拶してくれるがね、いい子達やわあ」・・・涙が出た。

 

 最近改めて思うのは、こんなにも地域の人達に愛されている学校はそう多くはないという事だ。伝統は守るべきものと時代に合わせて変えるべきものがあるが、先輩達と今の君達が築いている「地域に愛される学校」という伝統は、これからもずっと大切にしなければならないものであろう。

 この夏、多くの生徒達が、授業や探究活動で、学校行事や部活動で、委員会やボラティア活動で、地域に飛び出し、地域の人々と触れ合い活動していたことが何よりも嬉しい。

 

 日本財団では、「日本の若者が何を考え、何を思っているのか」をテーマに、2018年から「18歳意識調査」を継続的に行っているが、そのデータからは、アメリカ、イギリス、中国、韓国、インドの他5カ国の若者との意識の違いが如実に表れている。

 質問の一つである「自分の行動で国や社会を変えられると思うか」に対してYESと答えた割合が、日本は6カ国中断トツ最下位で45.8%という結果だった。(中国やインドは80%を超えている)

 近年、本校が力を入れている探究学習や地域と連携する様々な取組は、自分の力で社会をよりよくしようという心を養ってほしいという願いが込められている。砺波高校を卒業した生徒達が、将来多くの人達の支えになっていくことを楽しみにしている。

             学校長 中村謙作

【校長室より】部活動について思うこと

 昨日で県高校総体が終了しました。あちこち応援に回りましたが、本校の生徒達はどの競技においても大健闘していました。

 この大会で部活動を引退した人もいるでしょう。3年間よく頑張りましたね。自分を思い切り褒めてあげてください。同時に、両親や仲間や顧問の先生方のおかげで充実した活動を続けられたことに改めて感謝して欲しいと思います。

 一方、この後の大会やコンクールを控え、まだしばらくは部活動を続ける3年生もいることでしょう。これまで以上に文武両道の精神を強く持って頑張ってください。そして最後まで青春の炎を燃やし続けて欲しいと願います。

 先日、ある二人の3年生と放課後に井戸端会議?をする機会がありました。たわいもない話で盛り上がる中、彼女達の所属する部活動について日頃どのように思っているかを聞いたところ、次のような答えが返ってきました。

「自分が部を必要とし、部も自分を必要としているのが理想だが、私は部にお世話になっているとしか思えないので感謝しかない。」

「顧問の先生方や部員達に真心をもらい、日々人間としての在り方・生き方を教えられている。これからの自分はこうありたいと考えさせられる機会が多い。」

 おそらく他の部員も同じ気持ちなのでしょう。彼女達は、部活動を通して、人間として大切なものを学んでいると思います。

 

 今の社会はどこか歪んでいる部分があり、うまくいかない時に自分を省みることもせず、すぐ他人のせいにしたり、組織に責任を押しつけたりする風潮があります。感謝よりもエゴイズムが優先してしまう社会に明るい未来はあるのでしょうか。

 学校教育における部活動の果たしてきた役割を決して侮ってはいけません。戦後、平和な日本において、モラルを獲得し人間形成する上で役に立ったのは、「宗教」や「部落」や「道徳の時間」などもありますが、「部活動」というものを通して学んだ若者は実に多かったのではないでしょうか。

 彼女達が感じている部活動の経験は、大人になってからも微かな砂金としていつまでも残り、時には手に取り、忘れかけていた己自身と真実を見つめ直すものだと思うのです。

(学校長 中村謙作)