今日は身を切るような寒風が吹く冬のボストンらしい天気となりました。体感温度は-14℃とも言われる中、今日も生徒達は全員元気に登校しレッスンが行われる教室へと入っていきました。
生徒達のしおりには、昨日のレッスンを受けて今日への誓いがたくさん書かれていました。「クローズドクラスになってしまったが、どんな環境でも同じように頑張らなければいけない」「周囲に圧倒され今日は何も言えずに終わってしまったが、明日は分かるところだけでも必ず発言をしていく」「自分の英語力の低さを突き付けられるようで悔しかった。明日からは失敗してもいいから必ず挑戦する!」など、出来ない自分、逃げ出しそうな自分と向き合わざるを得ない状況が伝わってきます。昨日クラス変えを交渉していた2名の女子生徒も結果的には希望が叶いませんでした。しかし「言いたかったことは全部伝え、分かってもらいました」と表情は明るく、より勉強ができるよう2人専用の課題(宿題)を出してもらえたそうです。「これから採点をして、分からないところを質問に行きます!」と嬉しそうに話してくれました。受身になって与えられた環境のみで不平不満を口にするのではなく、その中で自分にできることは何かを必死に考え行動に移したことで、‘自分たちの研修’が創られています。彼女たち以外にも自分が置かれた環境に悔しさを感じ、新たな行動を起こした生徒がいます。休み時間には必ず他のクラスに出かけて留学生とコミュニケーションを取る、期間中全クラスを制覇する、1人で50人へのインタビューをやり切るつもりで(何となれば1日で!)行動する、そう誓った彼は留学生を見かけると走り出して声をかけにいっていました。まだまだ一歩後ろから周囲の様子を窺う空気が強かった中で、変化が生まれ始めたように感じます。
今日のレッスンを終えて、やはり「難しい」と思い通りに行かず悔しそうに語る生徒も多いものの、負けたくない強い意志が見えました。後半戦悔いの無いよう挑戦し続けて欲しいと思います。
午後は砺波高校アメリカ研修のスペシャルイベント、現地で活躍する日本人研究者の方にお越し頂いてのレクチャーとなりました。お越し頂いたのはハーバード大学医学大学院で博士研究員をされている 鎌田 真光(かまだ まさみつ)氏です。鎌田氏は東京大学教養学部を卒業後5年間市役所で働かれた後、より多くの人の健康を運動という分野からのアプローチで救いたいとハーバード大学での研究の道に進まれました。今回の講演の狙いとして、今後の自分自身について考えることや、進路の探し方の指針についてヒントとなるよう生徒達とインタラクティブにお話をいただきました。生徒達は「運動不足の人を減らすには具体的にどのような方法が考えられるか?」というお題に対しグループで「ゆ・か・い (有効性、数、維持)」という視点を踏まえ計画を考えました。ここでのポイントは自分の好きなことは何か、自分にできることは何かを踏まえ、その自分の特性が社会に対して貢献できるイメージを持つことであったことと思います。生徒達は多少戸惑いながらも、投げかけられたアクティブラーニングに意欲的に取り組んでいました。そして最後に鎌田氏は3つの円を描き、様々なことに挑戦しながら自分のやりたいこと、できること、やらなければいけないことの3つが重なるところを発見し、それを実現するために努力していくことをアドバイスいただきました。限られた時間ではありましたが、生徒達にとって貴重な出会いとなったことと思います。
午後のアクティビティの後半は、現地起業家である 松川原 康一(まつかわら こういち)氏による講演でした。松川原さんは約20年前に渡米し、3年ほど現地の企業に勤めた後自らアメリカで事業を起こし現在も活躍されている方です。しかし順風満帆に人生を送ってこられたわけではなく、過去自ら立ち上げた会社を2つ倒産させ、「人生のどん底」を見た上で現在のところまで這い上がった経験をお持ちです。その経験を踏まえ、これからの社会に必要とされる力、求められる人材についてユニークにお話しいただきました。ITとAIが急速な発展を続け今後その勢いが衰えることはないことから、過去日本において重視されてきた「情報処理能力(基礎学力、パターン認識、頭の回転)」だけではこれから人口知能に取って代わられてしまう、「情報編集力(知識を実社会で活かす能力、頭の柔軟性、多面的な視点)」をいかに伸長していくか、つまりAIでなく人間であるから生み出せる価値を発信する必要があり、そのためには人の顔色を窺って埋没している場合ではない。自分の思考を持ち、それをどんどん発信していかなければならないと熱く語って頂きました。生徒達は前のめりに話に聞き入り、講演後も松川原氏のもとに質問に行く生徒が絶えませんでした。
いよいよ明日から研修後半に入って参ります。今日2名のゲストの方々からいただいたメッセージを「自分らしく」活かして、この後の研修を全力で駆け抜けて欲しいと思います。以上、研修4日目の報告と致します。